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2021.07.28

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10月以降の東京都の最低賃金は1,041円になります

最低生計費との比較ではまだまだ低水準。最賃は全国一律1500円に。

最低賃金とは・・・政府目標は全国加重平均1000

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低額を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。各都道府県に1つずつ、全部で47件の「地域別最低賃金」が定められています。また特定の産業を対象とした「特定最低賃金」という制度もあります。

 

政府は「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)において、 「年率3%程度を目途として、名目GDP成長率にも配慮しつつ引き上げていく。これにより、全国加重平均が1000円になることを目指す。このような最低賃金の引き上げに向けて、中小企業、小規模事業者の生産性向上等のための支援や取引条件の改善を図る。」とされています。

 

今回の引き上げでも、中小企業支援策として雇用調整助成金のコロナ特例を年内いっぱい延期することなどが打ち出されています。

 

今年の引き上げの特徴・・・地域間格差の是正

例年7月頃に中央最低賃金審査会が都道府県を経済情勢によって4つにランク分けして、それぞれの引き上げ額の目安を厚生労働大臣に答申します。それを受けて都道府県ごとに地方最低賃金審査会が労働局長に答申し、10月から新たな最低賃金が適用されます。

 

しかし今年度、中央最低賃金審査会は、地域間格差の是正を図る目的から、経済情勢によるランク分けをせず、全国一律で28円引き上げが答申されました。各地方審議会が目安通りに引き上げを答申した場合、全国加重平均は902円から930円となり、政府目標の1,000円に近づきます。

 

2021年度10月以降の東京都の最低賃金

東京都の最低賃金は2019年に1,013円となり、全国で初めて1000円を超えました。2020年はコロナの影響で据えおかれましたが、今年は721日に東京地方最低賃金審議会が東京労働局長に202110月以降の東京都の最低賃金を時給1,041円に改定するよう答申し、現行1,013円から28円引き上げとなりました。

 

最低生計費との比較・・・健康で文化的な最低限度の生活水準の確保を

国が定める最低賃金は労働者が「健康で文化的な最低限度の生活」を営める賃金水準を保障するものでなければなりません。

 

特に建設業では若年工や外国人技能実習生などが最低賃金ギリギリで就労しているケースが多くあります。

2019年に東京地評・東京春闘共闘が1030代のひとり暮らし411名を対象に調査した「最低生計費調査」によると、「東京で若者がふつうに暮らすためには少なくとも時給1,500円が必要」という調査結果が示されています。この調査は「マーケット・バスケット方式」という方式によるもので、具体的には①生活のパターンを調べる「生活実態調査」と、②持ち物をどれくらい所有しているのかを調べる「持ち物に関する調査」を組み合わせ、生活に必要な費用をひとつひとつ丁寧に積み上げて算定したものです。

 

今年度、最低賃金は全国加重平均930円が見込まれますが、この水準では依然として「最低生計費」とかけ離れています。例えば2020年度の最低賃金が最も低い792円の地域の一つである秋田県でも、最低生計費調査に基づく賃金は1,446円必要という結果が出ており、当面は全国一律1,500円が求められます

 

東京土建では、30歳程度で一人前の技量をもつ建設労働者の賃金目安を月収60万円(年収720万円)と設定し、これを「標準賃金」と位置付けて取り組んでいます。

これは2020年に東京地評・東京春闘共闘が夫婦とこども2人世帯について調査した「最低生計費調査」で明らかになった「東京で普通に子育てするためにはどのくらい費用がかかるのか」という調査結果と同水準です。

 

建設業は有効求人倍率が6倍を超える高水準で人手不足が続いています。全産業に比べて55歳以上の高齢者が増加する一方、29歳以下の若年者の減少により高齢化が著しく進行し、次世代への技能継承が大きな課題になっています。若年者が希望をもって建設業に入職できるよう、生計費原則にもとづいた賃金水準の確保を求めます。

 

なお最低賃金改定に合わせて、雇用調整助成金のコロナ特例12月まで延期になります。労使協定の結び方や、申請方法について、詳しくは組合までご相談ください。

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